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マンションの管理費・修繕積立金が上がる理由:工事費高騰と積立不足の確認ポイント

マンションの管理費・修繕積立金が上がる理由:工事費高騰と積立不足の確認ポイント

マンションの管理費・修繕積立金が上がる前に見るべき数字と確認ポイント

マンションの管理費・修繕積立金は、全国一律でいつから上がる制度ではありませんが、老朽化、工事費・人件費の上昇、積立不足を背景に、各管理組合で増額提案が出やすい局面になっています。

特に修繕積立金は、外壁、屋上防水、給排水管、エレベーターなどの大きな修繕に備えるお金です。月々の負担を抑えたままにしていると、工事時期が近づいた段階で一気に不足が見え、値上げや一時金の議論になりやすくなります。

まず押さえたい点は次の4つです。

  • 全国共通の値上げ日や新料金はない。各マンションの総会決議や管理規約に沿って決まる
  • 国土交通省の令和5年度調査では、修繕積立金が計画に比べて不足しているマンションは36.6%
  • 段階的に増額する「段階増額積立方式」は47.1%で、新しいマンションほど多い
  • 2026年3月適用の公共工事設計労務単価は全国全職種単純平均で前年度比4.5%引き上げ

この記事では、2026年5月31日時点で確認できる公開情報をもとに、管理費・修繕積立金が上がる理由、対象者、開始時期、家計への影響、確認すべき書類を整理します。

目次

何が変わるのか:毎月の固定費が上がる可能性がある

変わる可能性があるのは、分譲マンションの区分所有者が毎月払う管理費と修繕積立金です。

管理費は日常管理に使うお金、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるお金です。どちらも住宅ローンとは別に毎月発生するため、増額されると住居費そのものが上がります。

管理費と修繕積立金の違い

項目主な使い道上がりやすい要因
管理費管理会社への委託費、清掃、設備点検、共用部の電気代など人件費、委託費、電気料金、保守点検費の上昇
修繕積立金外壁補修、屋上防水、鉄部塗装、給排水管、エレベーター更新など建物の老朽化、工事費、資材費、労務費、積立不足

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、1戸あたりの管理費の平均は月額11,503円、修繕積立金は駐車場使用料等からの充当額を除く平均で月額13,054円とされています。これはあくまで全国平均で、戸数、築年数、設備、地域、管理方式によって差があります。

ここがポイント: 「平均より安い」ことは必ずしも得とは限りません。長期修繕計画に対して積立金が足りていなければ、将来の値上げ、一時金、工事延期につながることがあります。

対象者:分譲マンションの所有者は全員確認が必要

直接影響を受けるのは、分譲マンションの区分所有者です。自分が住んでいる人だけでなく、賃貸に出している所有者も管理費・修繕積立金を負担します。

確認が必要なのは、次のような人です。

  • 分譲マンションに住んでいる区分所有者
  • 中古マンションの購入を検討している人
  • 投資用マンションを持っている人
  • 親族からマンションを相続する可能性がある人
  • 管理組合の理事、修繕委員、会計担当者

賃借人は通常、管理費・修繕積立金を管理組合に直接払う立場ではありません。ただし、オーナー側の負担増が将来の家賃設定に反映される可能性はあります。

いつから上がるのか:全国一律ではなく総会決議で決まる

管理費・修繕積立金に、全国共通の改定日や政府が決める新料金表はありません。値上げの時期は各マンションの管理組合が決めます。

一般的には、次の流れで進みます。

  1. 長期修繕計画や収支見通しを見直す
  2. 管理会社、設計事務所、専門委員会などが不足額や改定案を示す
  3. 理事会で議案をまとめる
  4. 総会で区分所有者が決議する
  5. 決議内容に沿って、指定月から新しい金額を徴収する

そのため、同じ地域、同じ築年数でも、2026年中に上がるマンションもあれば、数年後まで据え置くマンションもあります。

段階増額方式のマンションは予定表を確認

国土交通省は2024年6月、修繕積立金に関するガイドラインを改定し、段階増額積立方式における適切な引き上げの考え方を示しました。段階増額方式とは、購入直後の負担を抑え、年数が進むにつれて積立金を増やす方式です。

令和5年度マンション総合調査では、現在の修繕積立金の積立方式は、均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%でした。平成27年以降に完成したマンションでは段階増額方式の割合が高くなっています。

購入時の月額が低かったマンションほど、長期修繕計画に「何年目にいくらへ上げる」と書かれていることがあります。次の改定予定月を確認してください。

なぜ上がるのか:老朽化と工事費高騰が重なっている

値上げの理由は、単に「管理会社が上げたいから」ではありません。建物が年を取るほど直す場所が増え、工事を発注するための人件費や資材費も上がっています。

1. 大規模修繕の範囲が広がる

築年数が進むと、外壁塗装や屋上防水だけでなく、給排水管、エレベーター、機械式駐車場、インターホン、消防設備なども更新時期を迎えます。

国土交通省の調査では、大規模な計画修繕工事で実施された工事項目として、外壁塗装工事、屋上防水工事、床防水工事などが多く挙げられています。これらは見た目の問題だけでなく、雨漏りや設備不良を防ぐための工事です。

2. 工事の人件費が上がっている

国土交通省は、2026年3月から適用する公共工事設計労務単価について、全国全職種単純平均で前年度比4.5%引き上げると発表しました。全国全職種の加重平均値は25,834円で、14年連続の引き上げです。

マンション修繕は民間工事ですが、建設技能者の賃金上昇は修繕工事の見積もりにも影響します。足場、塗装、防水、設備更新などは人手が必要な工事だからです。

3. 資材・補修コストも高止まりしている

国土交通省の建設工事費デフレーターは、建設工事費の動きを見るための統計で、2026年5月31日時点では令和8年2月分までの月次データが公表されています。

また、建設物価調査会の建設資材物価指数では、2026年2月の建築補修指数の前年同月比が3.16%上昇と示されています。外壁、金属製品、設備機器、塗料、防水材などの価格が上がると、同じ修繕内容でも必要な積立金は増えます。

生活への影響:月数千円でも年単位では大きい

管理費・修繕積立金は毎月の固定費です。1回の支払いでは小さく見えても、年単位、世帯単位では負担がはっきり出ます。

たとえば修繕積立金が月5,000円上がると、年間では60,000円の負担増です。管理費も月2,000円上がれば、合計で年間84,000円増えます。

家計への影響を確認するときは、次の順で見ると整理しやすくなります。

  • 現在の管理費と修繕積立金の月額
  • 改定案の新月額
  • 差額の月額と年額
  • 駐車場使用料、専用庭使用料、トランクルーム使用料の変更有無
  • 住宅ローン、固定資産税、火災保険料を含めた住居費総額

中古マンションを買う場合は、販売図面に出ている月額だけでは足りません。管理組合の総会議案書や長期修繕計画に、数年後の増額予定が書かれていることがあります。

必要な対応:まず見る書類は5つ

所有者が最初に確認すべきなのは、値上げに反対する材料を探すことではなく、現在の金額が将来の工事に足りるのかを知ることです。

管理組合から配布された資料や購入時の重要事項説明書で、次の5つを確認してください。

  • 長期修繕計画:いつ、どの工事に、いくら必要と見込んでいるか
  • 修繕積立金の収支計画:今の月額で不足しないか
  • 総会議案書:値上げ案、改定時期、決議内容
  • 管理費会計の収支報告:管理委託費、清掃費、電気代などの増減
  • 滞納状況:管理費・修繕積立金の未払いがどの程度あるか

負担を抑えるために現実的にできること

修繕積立金は、単純に安くすればよい費用ではありません。足りなければ将来の工事が遅れ、建物の劣化や資産価値の低下につながります。

ただし、確認できる余地はあります。

  • 工事内容が長期修繕計画と合っているか
  • 複数社から見積もりを取っているか
  • 緊急性の低い工事まで同時に入っていないか
  • 管理委託費や保守契約が相場から大きく外れていないか
  • 駐車場収入などを修繕積立金に充当する前提が現実的か

値上げ案を見るときは、「上がるかどうか」だけでなく、「上げない場合に何が起きるか」も並べて確認することが重要です。

注意点:平均額だけで高い・安いを判断しない

管理費・修繕積立金は、平均額と比べるだけでは判断できません。小規模マンション、機械式駐車場があるマンション、タワーマンション、共用施設が多いマンションは、維持管理コストが高くなりやすいからです。

誤解しやすい点を整理します。

  • 管理費が高いから悪いとは限らない。清掃、設備、管理員体制が厚い場合がある
  • 修繕積立金が安いから得とは限らない。将来不足して一時金が必要になる場合がある
  • 新築時の金額は低めに見えることがある。段階増額予定を確認する必要がある
  • 駐車場収入を前提にした計画は、空き区画が増えると崩れることがある
  • 値上げには管理組合の手続きが必要で、管理会社だけで一方的に決めるものではない

2026年時点で見るべき次のポイントは、各マンションの長期修繕計画が工事費・労務費の上昇を織り込んで見直されているかです。総会資料に「改定案」が出たら、月額の差額だけでなく、不足額、工事時期、見積もりの前提まで確認してください。

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