銀行振込手数料は窓口・現金が高くなった:メガバンクとネット銀行の違いを整理
銀行の振込手数料は、2026年5月31日時点で、窓口や現金ATMは高め、ネットバンキングは低めまたは無料条件つきという差がはっきりしています。
特にメガバンクでは、三菱UFJ銀行が2023年10月2日、三井住友銀行が2024年10月1日、みずほ銀行が2025年1月14日に振込手数料を見直しました。店頭や現金での振込は引き上げが目立つ一方、アプリ・ネット経由では据え置きや引き下げもあります。
先に要点をまとめます。
- メガバンクの窓口で他行あてに振り込むと、1件990円になるケースがある
- 現金ATMの他行あて振込も、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行で880円の水準が目立つ
- ネットバンキングは、メガバンクでも他行あて110円から220円程度に収まる
- ネット銀行は無料回数つきが多く、無料回数を超えても77円から145円程度の例がある
この記事では、個人が国内振込を使う場面を中心に、変更内容、対象者、開始時期、家計への影響、確認すべきポイントを整理します。
変更内容:高くなったのは主に「窓口」と「現金ATM」
今回の流れを一言で言うと、銀行は人手がかかる振込や現金を扱う振込を高くし、ネット経由の振込を相対的に安くしています。
メガバンクで目立つ変更
三菱UFJ銀行は、2023年10月2日以降、個人のATM・窓口振込を大きく見直しました。たとえば窓口の他行あて振込は、3万円未満・3万円以上ともに990円です。ATMで現金を使って他行あてに振り込む場合も880円です。
三井住友銀行は、2024年10月1日から国内振込手数料を改定しました。個人向けでは、SMBCダイレクトやATMカード振込など口座を使う振込の一部を引き下げる一方、ATM・窓口の現金振込は引き上げました。同行は、現金振込の引き上げについて、キャッシュレス推進や詐欺・マネーロンダリング防止強化を理由に挙げています。
みずほ銀行は、2025年1月14日から振込手数料を改定しました。窓口とATM現金振込は引き上げ、みずほダイレクトの他行あて振込は金額にかかわらず110円へ引き下げています。
ここがポイント: 振込手数料の変化は「銀行全体で一律に値上げ」ではありません。高くなったのは主に窓口・現金ATMで、ネット経由は安くなる例もあります。
メガバンクとネット銀行の料金差
生活費の振込、家賃、仕送り、個人間の精算で差が出やすいのは、他行あて振込です。ここでは代表的な銀行の個人向け手数料を、公開情報ベースで比較します。
| 銀行 | ネット経由の他行あて | 無料条件の目安 | 窓口・現金ATMの傾向 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 三菱UFJダイレクトは3万円未満154円、3万円以上220円 | 自行あては0円 | 現金ATMの他行あて880円、窓口の他行あて990円 |
| 三井住友銀行 | SMBCダイレクトは他行あて154円または220円 | Oliveは一定回数まで0円、以降はSMBCダイレクトと同じ扱い | 現金振込は引き上げ。窓口は口座出金と現金で区分 |
| みずほ銀行 | みずほダイレクトは他行あて110円 | 自行・みずほ信託銀行あては0円 | 現金ATMの他行あて880円、窓口の他行あて990円 |
| 住信SBIネット銀行 | 無料回数後は他行あて77円 | スマプロランクに応じて無料回数あり | 店舗窓口型ではなく、ネット利用前提 |
| 楽天銀行 | 無料回数がない場合、他行あて145円 | 会員ステージに応じて最大月3回無料。給与・賞与・年金受取で翌月3回無料 | ネット利用前提 |
| ソニー銀行 | 月2回目以降は他行あて110円 | 毎月1回無料。Sony Bank WALLET保有で毎月2回まで無料 | ネット利用前提 |
| PayPay銀行 | 他行あて145円 | PayPay銀行あて、三井住友銀行あては無料。給与受取で他行あて月3回無料の案内あり | ネット利用前提 |
表を見ると、差は明確です。窓口で1回990円かかる振込でも、ネット銀行やネットバンキングなら無料から数百円以内に収まるケースがあります。
ただし、無料回数は銀行ごとに条件が違います。給与受取、会員ステージ、口座残高、カード保有、アプリ利用などが条件になるため、単純に「ネット銀行なら必ず無料」とは言い切れません。
対象者:影響が大きいのは現金で振り込む人
今回の手数料差で影響を受けやすいのは、次のような人です。
- 銀行窓口で家賃、授業料、会費などを振り込んでいる人
- ATMで現金を使って他行あてに振り込む人
- ネットバンキングの登録をしていない人
- 振込先を間違えやすく、組戻手数料が発生する可能性がある人
- 毎月複数回、他行あて振込をする人
反対に、スマホアプリやネットバンキングで振り込める人は、負担増を避けやすくなっています。みずほ銀行のように、ネット経由の他行あてを110円に引き下げた例もあります。
高齢の家族の振込を手伝う場合も、まずは「窓口で続ける必要がある振込か」「ネット登録で済む振込か」を分けて考えると、無理なく見直せます。
開始時期:主な改定日は2023年から2025年に集中
メガバンクの主な改定日は次の通りです。
- 三菱UFJ銀行:2023年10月2日以降
- 三井住友銀行:2024年10月1日から
- みずほ銀行:2025年1月14日から
ネット銀行の多くは、2021年10月1日以降の銀行間費用見直しを背景に、他行あて振込手数料を一律料金にしたり、無料回数を組み合わせたりしています。
背景には、全銀ネットの「内国為替制度運営費」があります。これは銀行間で送金を処理する費用に関わる仕組みで、2021年10月1日から従来の銀行間手数料に代わって導入されました。全銀ネットの資料では、現在は為替取引1件あたり62円(税抜)とされています。
利用者が払う振込手数料は、この銀行間費用だけで決まるわけではありません。銀行の店舗運営、人件費、現金取扱、本人確認、不正送金対策なども上乗せされます。そのため、同じ他行あて振込でも、窓口・ATM・ネットで大きな差が出ます。
生活への影響:月数回の振込でも年間差が出る
手数料は1回あたりでは小さく見えますが、毎月続くと固定費になります。
たとえば他行あてに毎月1回振り込む場合、単純計算では次のような差になります。
- 窓口で990円:年間11,880円
- 現金ATMで880円:年間10,560円
- ネットバンキングで110円:年間1,320円
- ネット銀行で無料回数内:年間0円
同じ「1万円を振り込む」でも、使う経路で年間1万円前後の差が出ることがあります。
特に家賃や月謝、仕送りのように毎月続く振込は、手数料の見直し効果が出やすい項目です。振込金額そのものを変えられなくても、振込方法を変えれば負担を下げられる可能性があります。
必要な対応:まず確認するのは3つ
振込手数料を抑えるために、最初から銀行を変える必要はありません。まずは今使っている銀行で、次の3点を確認します。
1. ネットバンキングを使えるか
メガバンクでも、ネット経由なら窓口よりかなり安くなるケースがあります。三菱UFJダイレクト、SMBCダイレクト、みずほダイレクトの登録状況を確認しましょう。
本人確認、ワンタイムパスワード、振込限度額の設定が必要な場合があります。急ぎの振込がある人は、当日ではなく余裕のある時期に準備しておくと安心です。
2. 無料回数の条件を満たしているか
ネット銀行は無料回数が重要です。給与受取、年金受取、会員ステージ、カード保有などで無料回数が増えることがあります。
無料回数を超えた後の料金も確認してください。住信SBIネット銀行は無料回数後77円、楽天銀行は無料回数がない場合145円、ソニー銀行は月2回目以降110円です。毎月の振込回数が多い人ほど、この差が効いてきます。
3. 10万円以下なら「ことら送金」も候補にする
個人間の少額送金なら、ことら送金が使える場合があります。三菱UFJ銀行は、10万円以下の個人間送金についてBank Payことら送金を無料で利用できると案内しています。みずほ銀行も、J-Coin Payなどのことら送金サービスを使うことで、個人間の1回10万円以下の送金を無料で利用できるとしています。
ただし、ことら送金は対応金融機関、送金先、利用アプリ、送金目的によって使えるかが変わります。家賃や事業性の支払いなど、相手先が通常の銀行振込を指定している場合は、利用可否を事前に確認してください。
注意点:安さだけで選ぶと困る場面もある
振込手数料は安い方がよいですが、銀行選びは手数料だけで決めない方が安全です。
注意したいのは次の点です。
- 振込限度額は銀行・認証方法・利用開始時期で変わる
- 無料回数は翌月に繰り越せない場合がある
- 組戻や訂正には別途手数料がかかることがある
- ATM利用手数料は振込手数料とは別に発生する場合がある
- 事業用・法人口座は個人口座と料金体系が違う
- 現金振込は10万円超をATMで扱えないなど、本人確認上の制限がある
特に組戻手数料は見落としやすい項目です。振込先を間違えた場合、振込手数料とは別に手数料がかかるうえ、必ず返金されるとは限りません。手数料を節約する前に、振込先名義、支店名、口座番号を確認する習慣をつける方が大切です。
まとめ:窓口からネットへ移せる振込を探す
銀行振込手数料の変化で一番大きいポイントは、同じ銀行でも使う経路で料金が大きく違うことです。
すぐに確認したいのは次の4つです。
- 毎月の振込が窓口・現金ATMに残っていないか
- ネットバンキングの登録とワンタイムパスワード設定が済んでいるか
- ネット銀行の無料回数を使い切っていないか
- 10万円以下の個人間送金なら、ことら送金など無料手段が使えないか
今後も銀行は、店頭・現金取引には高めの手数料を設定し、アプリやネット経由へ誘導する流れを続ける可能性があります。次に見るべきは、自分のメイン口座で「無料回数」「振込限度額」「認証方法」が変わっていないかです。料金表だけでなく、アプリ内のお知らせも確認しておくと、余計な手数料を避けやすくなります。
