クレジットカード年会費は一律値上げではない:2026年に見る特典改定と実質負担
クレジットカードの年会費は、全体が一斉に上がっているわけではありませんが、航空・旅行系の上位カードや追加カードでは値上げや無料条件の変更が目立ち、特典縮小による実質負担も増えやすくなっています。
2026年5月31日時点の公式情報を確認すると、同じ「カードの負担増」でも中身は3つに分かれます。
- 年会費そのものが上がるカードがある
- 年会費は下がっても、ポイント還元率が下がるカードがある
- 年会費は据え置きでも、ラウンジ・ETC・リボ手数料など周辺条件で負担が変わる
年会費の金額だけを見ていると、自分に関係する変化を見落とします。見るべきなのは「年会費」「ポイント還元」「追加カード」「旅行・ラウンジ特典」「支払い方法の手数料」を合わせた実質負担です。
変更内容:年会費アップだけでなく、特典改定も確認する
まず、公式発表で確認できる主な改定を整理します。
| カード・サービス | 主な変更 | 適用時期 | 負担の見方 |
|---|---|---|---|
| ANA VISAプラチナ プレミアムカード/ANA VISAプラチナ スーパーフライヤーズ プレミアムカード | 本会員年会費が88,000円から96,800円へ | 2025年12月10日以降の年会費支払い日から | 年8,800円の増加。高額年会費カードを継続するかの判断が必要 |
| MileagePlus JCBゴールドカード | 本会員年会費が16,500円から21,450円へ | 新規は2024年2月16日以降のカード発行分、既存会員は2024年4月10日以降の年会費支払い分から | 年4,950円の増加。家族カード、クラシックカード、一般カードは変更なし |
| リクルートカードプラス | 本カード年会費は2,200円から1,650円へ下がる一方、ポイント還元率は2.0%から1.5%へ | 年会費は2025年6月10日以降、還元率は2026年3月16日以降の利用分などから | 年会費は下がるが、利用額が多い人ほどポイント減の影響が大きい |
| JCB ETCスルーカード | プレミアムカード以外は、2年目以降が前年の利用状況に応じて無料。有料の場合は1枚550円 | カードごとの判定期間・支払い時期により異なる | ETC利用が少ない人、ショッピング利用が少ない人は追加負担が出る可能性 |
| 楽天プレミアムカード | 年会費は11,000円。海外空港ラウンジサービスは年5回まで無料、6回目以降は1回US35ドル | 公式ページ掲載条件による | 年会費据え置きでも、利用回数によって特典価値が変わる |
ここで重要なのは、値上げだけを追わないことです。たとえばリクルートカードプラスは年会費が下がっています。しかし還元率が0.5ポイント下がるため、年間利用額が大きい人ほど受け取るポイントは減ります。
単純計算では、年間100万円使う場合、2.0%なら20,000ポイント、1.5%なら15,000ポイントです。年会費の下げ幅550円より、ポイント減5,000円相当のほうが大きくなります。
ここがポイント: 年会費が上がったかどうかだけでなく、「年会費の差額」と「減る特典・ポイント」を同じ年額で比べると、実質負担が見えやすくなります。
対象者:負担増になりやすいのは誰か
影響を受けやすいのは、有料カードを「特典込み」で使っている人です。
航空・旅行系カードを持つ人
ANA VISAプラチナ プレミアムカードやMileagePlus JCBゴールドカードのように、航空会社・マイルと結びついたカードでは、年会費そのものの改定が確認できます。
特に注意したいのは、マイルやラウンジ、旅行保険を年会費の回収手段として見ている人です。年会費が上がると、同じ特典を使っていても損益分岐点が上がります。
確認したい項目は次の通りです。
- 年間で何マイル相当を得ているか
- 空港ラウンジを何回使っているか
- 旅行保険を別契約せずに済んでいるか
- 家族カードの年会費や特典も変わるか
ETCカードを持っているが、あまり使わない人
JCB ETCスルーカードは、プレミアムカード以外では2年目以降の無料条件が利用状況に連動します。個人の場合、前年1年間にETCスルーカードの支払いが1回以上、またはショッピング利用合計50万円以上などの条件が示されています。
高速道路を年に数回しか使わない人は、ETC利用があるかを明細で確認したほうが安全です。無料区間やETCマイレージによる無料走行は、利用回数に含まれないとされています。
高還元カードをメインカードにしている人
年会費が下がっても、還元率が下がれば実質的には負担増になる場合があります。
リクルートカードプラスのように還元率が2.0%から1.5%へ変わるケースでは、毎月の生活費、公共料金、通信費、保険料などをまとめて払っている人ほど影響が大きくなります。
開始時期:支払い日と利用日でズレが出る
カード改定で分かりにくいのは、発表日ではなく「いつの利用・いつの年会費から変わるのか」です。
主な日付は次の通りです。
- ANA VISAプラチナ系:2025年12月10日以降の年会費支払い日から改定後年会費
- MileagePlus JCBゴールド:既存会員は2024年4月10日以降の年会費支払い分から改定後年会費
- リクルートカードプラス:年会費は2025年6月10日以降、還元率は2026年3月16日以降の利用分などから変更
- JCBショッピングスキップ・分割・リボ払い:2026年10月1日以降の新規利用分から順次、手数料率18.00%へ
年会費はカード加入日や有効期限月によって支払い月が変わります。公式ページでも、申し込み日とカード加入日は別で、審査により加入日が遅れる場合があると案内されています。
退会や切り替えを検討するなら、次の年会費が発生する月を先に確認してください。年会費が請求された後に気づくと、カード会社の規定によっては戻らない場合があります。
生活への影響:年数千円でも、固定費として積み上がる
クレジットカードの年会費は、電気代や通信費のように毎月見える支出ではありません。だからこそ、1年に1回の請求で見落としやすい固定費です。
今回確認した範囲では、負担増の大きさはカードによってかなり違います。
- ANA VISAプラチナ系:本会員で年8,800円増
- MileagePlus JCBゴールド:本会員で年4,950円増
- JCB ETCスルーカード:条件を満たさない場合、1枚550円
- リクルートカードプラス:年会費は550円下がるが、還元率低下でポイント獲得額が減る
- 楽天プレミアムカード:年会費11,000円。ラウンジ利用などの回数で実質価値が変わる
高額カードほど、数千円から1万円弱の差が出ます。一方で、無料カードや低年会費カードでは、年会費そのものよりもETCカード、リボ・分割払い手数料、ポイント条件の変更が効きやすくなります。
特にリボ払い・分割払いを使う人は、年会費より手数料率のほうが家計に響くことがあります。JCBはショッピングスキップ払い、分割払い、リボ払いなどについて、2026年10月1日以降の新規利用分から順次、実質年率18.00%へ改定すると案内しています。
必要な対応:カードごとに「年額」で見直す
見直しは、カードの良し悪しではなく、自分の使い方に合うかで判断します。
1. 次回年会費の支払い月を確認する
まず、会員サイトや明細で次回年会費の支払い月を見ます。退会期限や切り替え期限はカードごとに異なります。
リクルートカードプラスでは「カード有効期限月の翌月末日まで」に退会すると次年度年会費が発生しないと案内されていますが、新規募集停止中のため、退会後の再入会はできない点にも注意が必要です。
2. 年間利用額と還元額を計算する
高還元カードは、年会費よりポイント差のほうが大きくなることがあります。
目安として、次の式で確認できます。
- 年間利用額 × 還元率 = 年間ポイント相当
- 年間ポイント相当 − 年会費 = 実質的な残りメリット
- 改定前後の差額 = 見直すべき負担増
たとえば還元率が2.0%から1.5%になる場合、年間利用額が50万円ならポイント差は2,500円相当、100万円なら5,000円相当です。
3. 使っていない特典を外して考える
ラウンジ、旅行保険、マイル移行、ホテル優待、雑誌・音楽サービスなどは、使えば価値があります。使わなければ、年会費を正当化する材料にはなりません。
次のように分けると判断しやすくなります。
- 毎年確実に使っている特典
- 使う年と使わない年がある特典
- 入会時は魅力的だったが、今は使っていない特典
「いつか使うかもしれない」は、年会費の見直しでは弱い根拠です。
注意点:無料カードでも負担がゼロとは限らない
年会費無料カードを使っていれば安心、とは言い切れません。
無料カードでも、ETCカード年会費、海外利用時の事務処理コスト、分割・リボ払い手数料、ポイント付与対象外取引などで実質負担が出ます。カード本体の年会費だけで比較すると、ここを見落とします。
確認すべきポイントは5つです。
- 本カード年会費はいくらか
- 家族カード・ETCカードの年会費は別にかかるか
- 年会費無料条件に利用回数や利用額の条件があるか
- ポイント還元率や上限が変わっていないか
- リボ払い・分割払い・スキップ払いの手数料率を使っていないか
2026年時点の傾向としては、クレジットカード年会費が一律に上がっているというより、高付加価値カードでは会費を上げ、無料・低年会費カードでは条件や手数料で採算を調整する動きとして見るのが現実的です。
最後に、次回の明細で見るべき項目をまとめます。
- 年会費の請求月
- 家族カード・ETCカードの請求有無
- 前年利用額と無料条件の達成状況
- ポイント還元率の変更日
- ラウンジや保険など、実際に使った特典の回数
カードを解約するかどうかは、その後で十分です。まずは「年会費が上がったか」ではなく、「1年でいくら得して、いくら払っているか」を同じ単位で並べることが、負担増を見落とさない近道です。
