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保険料は今後上がるのか?自然災害リスクと保険制度の変化

保険料は今後上がるのか?自然災害リスクと保険制度の変化

住まいに関わる保険は、すでに上がりやすい局面に入っており、今後は「全国一律」よりも「地域差・建物差」が広がる方向で見るのが実態に近いです。

火災保険では、損害保険料率算出機構が2023年6月に住宅総合保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げ、水災料率も5区分に細分化しました。地震保険は直近の公表ベースでは2022年10月適用の基準料率が最新で、全国平均では0.7%引き下げでしたが、都道府県と建物構造によっては上がった区分もあります。

  • 火災保険は2024年以降の実際の契約更新で負担増を感じやすい
  • 今後の焦点は一律値上げより、災害リスクに応じた保険料の差が広がるかどうか
  • 地震保険は地域と構造で差が大きく、割引の有無でも負担が変わる
  • 2026年4月22日時点で、次の全国一律改定日が公式に決まっているわけではない
目次

変更内容

まず押さえたいのは、保険料が上がる背景が「保険会社の都合」だけではなく、自然災害の支払い増と料率制度の見直しにあることです。

火災保険は参考純率が引き上げ、水災は5区分に

損害保険料率算出機構は2023年6月、火災保険参考純率の改定を届け出ました。内容は次の2点です。

  • 住宅総合保険の参考純率を全国平均13.0%引き上げ
  • 水災に関する料率を、地域リスクに応じて5区分に細分化

これはそのまま全社共通の値上げ率になるわけではありません。ただ、各社の商品改定の土台になる数字なので、実際の更新時に保険料が上がる契約が増えやすくなります。

損保料率機構の2024年度版資料では、2023年度と2024年度に発生した主な自然災害による保険金は、2023年度分が累計649億円、2024年度分が累計685億円とされています。災害が続けば、料率の見直し圧力が続くのは自然です。

地震保険は全国平均では小幅引き下げ、ただし一律ではない

地震保険の直近の基準料率届出は2021年6月10日付で、適用は2022年10月1日以降始期契約です。全国平均では0.7%引き下げでしたが、全都道府県・全構造で下がったわけではありません。

地震保険は国が関わる制度で、保険料は所在地と建物構造で決まります。つまり、同じ「地震保険に入る」でも、東京の木造住宅と地方の耐火建物では負担感がかなり違います。

ここがポイント: 保険料の変化は、今後も「みんな同じように上がる」より、災害リスクが高い地域や条件に重く反映される流れで見るほうが実情に合います。

対象者

影響を受けやすいのは、次のような契約者です。

  • 持ち家で火災保険を更新する人
  • ハザードマップ上で水災リスクが高い地域に住む人
  • 木造住宅や築年数が進んだ住宅の所有者
  • 地震保険を付ける、または更新する人
  • 賃貸でも家財保険に水災・地震補償を付けている人

特に見落としやすいのが、賃貸の家財です。建物の所有者でなくても、家財保険に水災や地震の補償を付けていれば保険料の影響を受けます。

一方で、低リスク地域の水災補償や耐震性の高い建物では、条件次第で負担の伸びを抑えやすい面もあります。

開始時期

時系列で整理すると、見える景色がかなりはっきりします。

  • 2022年10月1日: 地震保険の現行基準料率が適用開始
  • 2023年6月28日: 火災保険参考純率の改定が公表
  • 2024年10月ごろ以降: 各社の商品改定で、実際の更新契約に影響が出やすくなる
  • 2026年4月22日時点: 損保料率機構の公開ページで確認できる直近の火災保険参考純率改定は2023年6月届出、地震保険基準料率の直近届出は2021年6月届出

つまり、家計への影響は「これから初めて起きる」というより、もう始まっていて、次の改定がいつ・どの条件で来るかを見張る段階です。

生活への影響

生活者にとって重要なのは、制度の話より「いくら変わりうるか」です。

地震保険は地域差が大きい

財務省の現行料率表では、保険金額1,000万円・保険期間1年あたりの地震保険料は、たとえば次の水準です。

  • 東京都のイ構造(主に鉄骨・コンクリート造): 27,500円
  • 東京都のロ構造(主に木造): 41,100円
  • 大阪府のイ構造: 11,600円
  • 大阪府のロ構造: 19,500円

同じ1,000万円でも、地域と構造でかなり差があります。ここに長期係数や各種割引が乗るので、更新案内の金額差は想像以上に開きます。

火災保険は「水災を付けるか外すか」の判断が重くなる

水災料率の細分化は、保険料負担の公平化が狙いです。金融庁の有識者懇談会報告書でも、低リスク契約者の水災補償離れを抑える一方、高リスク契約者の負担が急激に重くなりすぎないように配慮が必要だと整理されています。

実際、損保料率機構が公表した2024年度の火災保険水災補償付帯率は全国平均61.8%でした。言い換えると、4割近い契約では水災補償が付いていません。保険料を抑えるために外した結果、浸水時の自己負担が大きくなる契約も出やすい状況です。

必要な対応

保険料が上がるかどうかを気にするなら、更新前に見るべき点はかなり絞れます。

  • ハザードマップで自宅の浸水想定を確認する
  • 火災保険で水災補償を付けているか、外しているかを確認する
  • 地震保険の保険金額が、火災保険金額の30%から50%の範囲になっているか確認する
  • 建物構造が正しく判定されているか確認する
  • 建築年割引、耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引の適用漏れがないか確認する
  • 建物だけでなく家財の補償額が現状に合っているか見直す

火災保険を安くするために補償を一律に削るのは危険です。水災リスクが低い場所なら見直し余地がありますが、川沿い、低地、内水氾濫の多い地域では、外した後の自己負担が家計を直撃します。

注意点

最後に、誤解しやすい点を整理します。

  • 「自然災害が増えている=すぐ全国一律でまた値上げ」とは限らない
  • 火災保険参考純率の改定率と、実際の保険会社の商品改定率は同じではない
  • 地震保険は民間の自由設定ではなく、制度上の枠組みが強い
  • 保険料を抑えても、補償を外しすぎると災害後の持ち出しが跳ね上がる

気象庁の気候変動監視レポートでは、2024年の日本の年平均気温偏差は+1.48℃で観測史上最高、長期的には100年あたり1.40℃の割合で上昇しています。これだけで次の値上げ日が決まるわけではありませんが、保険料を決める側が災害リスクを細かく見直す流れは続きやすいと言えます。

今後の注目点は3つです。

  • 次の火災保険参考純率改定が出るか
  • 水災リスクの地域差が各社商品でどこまで強く反映されるか
  • 地震保険の基準料率や長期契約の扱いに新たな見直しが出るか

更新案内が届いたときに金額だけを見ると判断を誤ります。自宅の災害リスク、補償の中身、割引の適用漏れを同時に見ないと、本当に高いのか、必要な負担なのかは判断できません。

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