年金保険料はどこまで上がる?2026年度の国民年金と厚生年金の負担変化を整理
年金保険料の負担増がはっきり見えているのは、国民年金は2026年度に月1万7,920円、さらに2027年度は月1万8,290円、厚生年金は保険料率18.3%は据え置きのまま、高所得者の計算上限だけが2027年9月から段階的に上がるという点です。
2026年5月8日時点で公式に確認できる情報を基に、どの人の負担が増えるのかを分けて見ていきます。
- 国民年金の第1号被保険者は、2025年度の月1万7,510円から2026年度は月1万7,920円へ上昇
- 日本年金機構の前納案内では、2027年度の国民年金保険料は月1万8,290円まで示されている
- 厚生年金は保険料率18.3%自体は変わらない
- ただし厚生年金は、月収が高い人向けに標準報酬月額の上限が2027年9月から65万円→75万円へ段階的に引き上げられる
変更内容
まず分けて見るべきなのは、国民年金は定額、厚生年金は収入連動という違いです。
国民年金は月額そのものが上がる
国民年金保険料は、第1号被保険者や任意加入被保険者が自分で納める定額の保険料です。日本年金機構によると、2026年度の保険料は月額1万7,920円です。
直近の推移は次の通りです。
- 2025年度: 月額1万7,510円
- 2026年度: 月額1万7,920円
- 差額: 月410円増
- 年額ベース: 4,920円増
さらに、日本年金機構の2年前納案内では、2027年度の国民年金保険料を月額1万8,290円として前納額を計算しています。つまり、少なくとも2027年度までは上がる前提の数字が公式に出ている状態です。
厚生年金は料率据え置き、上限だけ見直し
厚生年金は会社員や公務員などが対象で、保険料率は日本年金機構の案内で18.3%で固定とされています。ここはすぐに上がる話ではありません。
一方で、厚生労働省は2025年成立の年金制度改正法に基づき、標準報酬月額の上限を段階的に引き上げるとしています。
- 現在の上限: 65万円
- 2027年9月: 68万円
- 2028年9月: 71万円
- 2029年9月: 75万円
これは、月収が高くてすでに上限に張り付いている人の保険料負担が増える見直しです。月収65万円以下の人は、この改正だけでは厚生年金保険料は変わりません。
対象者
影響を受ける人は同じ「年金」でもかなり違います。
国民年金で直接負担が増える人
- 自営業者
- フリーランス
- 学生
- 無職の人
- 任意加入被保険者
これらの人は主に国民年金の第1号被保険者として、自分で定額保険料を納めます。したがって、月額改定がそのまま家計負担に響きます。
国民年金で自分では払わない人
- 第3号被保険者
会社員や公務員に扶養される配偶者などの第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納めません。このため、国民年金の月額引き上げがそのまま請求されるわけではありません。
厚生年金で負担増の中心になる人
- 会社員
- 公務員
- 一定条件で社会保険に入る短時間労働者
- そのうち、特に月収が65万円超の高所得層
厚生年金は労使折半です。本人負担分は給与天引きされ、同額を事業主も負担します。今回の上限見直しで影響が大きいのは、まず高所得層です。
ここがポイント: 国民年金は広く月額が上がり、厚生年金は大半の人の料率はそのままです。厚生年金の負担増は、まず月収上限にかかる高所得層から始まります。
開始時期
いつから増えるかは、制度ごとにはっきり分かれます。
- 国民年金の2026年度額: 2026年4月分から2027年3月分まで
- 国民年金の2027年度額: 2027年4月分から2028年3月分まで
- 厚生年金の上限68万円: 2027年9月から
- 厚生年金の上限71万円: 2028年9月から
- 厚生年金の上限75万円: 2029年9月から
現時点で公式に確認しやすい「次の一段」は、国民年金なら2027年度の月1万8,290円、厚生年金なら2027年9月開始の上限68万円です。
生活への影響
家計への効き方も、国民年金と厚生年金でかなり違います。
国民年金は定額なので家計に直撃しやすい
2025年度から2026年度への引き上げは月410円、年4,920円です。1人分では大きく見えなくても、夫婦とも第1号被保険者なら年9,840円の増加になります。
前納を使えば負担を少し抑えられます。日本年金機構の2026年度案内では、口座振替の2年前納は417,150円で、毎月納付より1万7,370円安くなります。
厚生年金は高所得層ほど影響が見えやすい
厚生年金の保険料率18.3%は労使折半なので、本人負担分は9.15%相当です。したがって、標準報酬月額の上限が上がるたび、上限に達している人の本人負担は次のように増えます。
- 65万円→68万円: 月2,745円増
- 68万円→71万円: 月2,745円増
- 71万円→75万円: 月3,660円増
- 65万円→75万円まで全部反映: 月9,150円増
これは、厚生労働省が示す「月75万円以上の人では本人負担分が月9,100円上昇」という説明ともおおむね一致する水準です。影響が出るのは主に高所得層ですが、対象者にとっては毎月の手取りに無視できない差になります。
必要な対応
今の時点で確認しておきたいのは次の点です。
- 第1号被保険者は、2026年度の月額1万7,920円を前提に年間資金計画を見直す
- 前納を使う人は、口座振替かクレジットカード払いの割引額を確認する
- 会社員は、自分の標準報酬月額が上限帯に近いかを給与明細や算定基礎届の結果で確認する
- 月収65万円超の人は、2027年9月以降の手取り変化を先に見込んでおく
- 事業主側は、本人負担だけでなく会社負担分も増える点を見落とさない
注意点
「年金保険料が上がる」と一括りにすると誤解しやすい部分があります。
- 国民年金は全員一律に近い定額改定だが、厚生年金は収入によって影響が違う
- 厚生年金の18.3%という保険料率自体は、今回すぐ上がるわけではない
- 厚生年金の上限見直しは2027年9月からで、2026年度の給与天引きが直ちに増える話ではない
- 国民年金は2027年度の額までは公式資料で確認しやすいが、その先の毎年度額は今後の公表待ち
- 第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を払わないため、見え方が第1号被保険者と異なる
年金保険料がどこまで上がるかという問いに、2026年5月8日時点で公式情報ベースで答えるなら、国民年金は2027年度に月1万8,290円まで、厚生年金は高所得者の計算上限が2029年9月に75万円までです。次に見るべきなのは、2027年度の国民年金額の正式運用と、厚生年金上限引き上げが自分の給与帯にかかるかどうかです。
